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決算説明会資料 動画

2017.8.22 2017年6月期決算説明会


Part 1 2017年6月期事業報告
代表取締役社長 河邊拓己




Part 2 2017年6月期決算報告
取締役CFO 加登住眞



《配付資料》

2017年6月期決算説明会資料(2017年8月22日)

《質疑応答》

Q. CBP501の開発は、ここへ来て作用メカニズムの論文発表・フェーズ1b試験開始と動きが活発化している印象がある。こうした動きに対して、製薬会社・とくにチェックポイント阻害剤を持っている製薬会社の反応ないし関心はどうか。もし具体的な動きがあれば教えて欲しい。

A. ご質問へのダイレクトな回答としては「『フェーズ1b試験の結果が見えてきたら教えてね』という反応」になる。ただ、文字に書くと同じだが、その発言のときの空気はどんどん変わってきている。
まず、作用機序に関しては、論文になったことで「ああ、キャンバスの主張していた作用機序は本当なんだね」にレスポンスが変わった。
もうひとつ、先ほどのプレゼンでもお伝えしたように、今年のASCOの発表によると免疫系抗癌剤の臨床試験は現在2,500くらい走っており、1,250社以上が関与しているという。
そこからわかるとおり、ほんの2年ほど前には「今ある免疫系抗癌剤プロジェクトでお腹いっぱいだから新しい話は要らない」というのがメジャーな製薬会社の反応だった。
しかし、そのうちのいくつかは今一歩な結果がすでに出始め、一方で、免疫系抗癌剤の組み合わせとして細胞傷害性抗癌剤が実は一番という結果も際立ってきている。
それを受けて、これまで「お腹いっぱい」と言っていた人たちの感触が変わっている。

Q.富士フイルムとの共同研究の件で質問がある。
リリースを読む限り、富士フイルムで合成した化合物についてキャンバスが薬効評価をすると読める。
キャンバスのビジネスとして考えたとき、これを皮切りとして今後、外部化合物の薬効評価を受託して手数料を受け取るビジネスになっていくのか。
また、薬効評価をした化合物の権利関係がどうなるのかを知りたい。

A. 薬効評価のビジネスを展開するつもりはまったくない。
自分たちが501の臨床試験を進めるうちに免疫系の領域にどんどん入り込んできて、免疫系の薬剤を評価するシステムが自然に社内にできあがった。
それを踏まえて自分たちの新しい免疫系抗癌剤を作ろうと作業している中で、基本的には同じシステムを使って薬効を評価できる共同研究の話になった。
実際には薬効評価に先立つ化合物スクリーニングについても共同の部分がたくさんあり、現に当社の研究者がこの仕事で忙しくしている。
知的財産権の権利関係については完全にフェアにやる。
生み出されたものの新規性とそれに対する貢献度に応じてフェアに分けましょうという紳士的な関係になっている。

Q.CBP501ライセンス活動の導出戦略はどういう考えか。完全に導出するのか、共同開発的にするのか。

A.自分たちで「こういう形でないと出さない」とはしないつもり。
「CBP501の価値を共有する」「開発が進められる」という絞り込んだ部分だけは死守し、その他の条件については前広に話をしていく。

Q. 現在のフェーズ1b試験ではニボルマブ(オプジーボ)との併用とされているが、今後は他の免疫チェックポイント阻害抗体が併用候補になっていくことがあり得るのか。

A. あると思っている。
既に米国臨床癌学会で多くの講演者が言っているとおり、抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体は複数あってそれぞれ特徴が違うということになっているけれども基本的には同様のもので、反応する患者さんの集団も同じだというのがコンセンサス。
したがって、もしニボルマブで良さそうな効果が見られれば当然、他の免疫チェックポイント阻害抗体を開発している人たち ~抗PD-1抗体を開発している会社だけでも10社以上ある~ も同じ視点で見てくれることになるのは間違いないと思う。

Q. CBP-A08など、より早期の開発段階にある化合物パイプラインもプレゼンテーションの中で紹介されていたが、これらに関するアライアンス成立への時間軸はどのように考えているか。

A. どの化合物のどの段階であっても、当社の収益状況を改善するお話があればすべて前向きに考えていく。
開発の時間軸については、個別の事情を捨象して大雑把にいうと、
・前臨床試験を実施するための化合物大量合成におよそ1年半
・前臨床試験に1年半から2年くらい
という時間がかかったあとで臨床試験が始まる。
始まるときにも、IND申請、IND承認後の臨床試験立ち上げに、それぞれ数ヶ月単位の時間がかかる。
開発早期段階のアライアンスのためには、これらの時間軸の間にどれだけアピールができて関心を持ってもらえるかがポイントになる。
当社の現状は、CBP501やCBS9106(日中台韓地域)も含めてどれかひとつでも「次」のアライアンスが成立すると事業の安定感が格段に向上する状態。
したがって、「次」がどれでなければならないとは考えず、早期のアライアンス獲得を目指す。

Q. CBS9106に関し、Stemlineからの技術アドバイザリーフィーはいつまで受領できることになっているのか。

A. 契約開始から4年間。すなわち、2018年12月まで。

Q.CBS9106は、新薬承認までの間のイベントに成功報酬の発生するマイルストーンは設定されているのか。

A. マイルストーンの内容については非開示だが、新薬承認まで一切ないというような内容ではなく、いくつかのイベントについてマイルストーンペイメントが設定されている。

Q. CBS9106の開発は、癌腫についてはどのような狙いで進めているのか。
多発性骨髄腫について手応えがあり、同じXPO1阻害剤の競合他社は肉腫を適応としていると以前聞いている。

A. ご指摘のとおり、XPO1阻害剤で先行するカリオファーマ社が、急性白血病・多発性骨髄腫・肉腫などで臨床試験を進めている。
当社の基礎研究からは、ほぼすべての癌に効く可能性はあるのだが、中でも特に感受性の高い細胞株の割合が高かったのが多発性骨髄腫だったことから、多発性骨髄腫はとても有力な標的だと考えている。
Stemline社も公表しているとおり、多発性骨髄腫を含む血液系の癌と固形癌の両方を開発していく方針で、まず固形癌からスタートし、少し遅れて血液系の癌を開発していくと聞いている。
公表情報と内々の情報に違いはない。
なお、今年米国臨床癌学会に行った際に多発性骨髄腫のキーオピニオンリーダーの講演をふたつ聞いたが、
「多発性骨髄腫はきわめて多数の新薬開発・承認が続いていて厳しい競合関係と考えられがちだが、それら新薬でも結局患者さんは最後に、有効な治療法がなくなって困っている。
そこには新規メカニズムの抗癌剤が必要で、そのメカニズムとして現在最も有望なのはBCL-2とXPO1の2つだ」
と、まったく同じことを言っていた。
ご存じのとおりXPO1はCBS9106の標的分子である

Q. 免疫系抗癌剤と併用する低分子化合物の開発がさまざまに進められている中、CBP501がどのような位置づけを狙っているのか、もういちど整理して説明をお願いしたい。

A. 免疫系化合物(低分子、抗体ともに)の開発の中で、いちばん大きな集団は「免疫系を司るリンパ球のアクセルを踏む・ブレーキを抑制する」という薬剤。
もう一方に、従来型の細胞傷害性抗癌剤や放射線と免疫チェックポイント阻害抗体を組み合わせるアプローチの集団がある。
やや我田引水な表現になるが、CBP501はそれら両方のいいとこ取りをしている化合物と考えている。
まず、CBP501の持っている主要な作用のひとつは、プラチナ製剤が癌細胞特異的にたくさん入ること。これによって細胞傷害性抗癌剤の作用を高めている。
それに加えてCBP501は、癌細胞が死ぬときに免疫系に悟られないように死ぬのを妨げ、炎症が生じ免疫系の働きを促す「免疫原性細胞死」に導くことが基礎研究からわかっている。
免疫系抗癌剤が働くためには免疫原性細胞死が欲しい。
つまり、「免疫系抗癌剤と組み合わせるのは細胞傷害性抗癌剤や放射線が良い」と言われているところに、それをさらに強化していることになる。
もうひとつ、免疫系抗癌剤は癌を取り巻く微小環境(マクロファージやリンパ球)に作用するが、CBP501は微小環境の中で免疫抑制をする最大の細胞集団であるM2マクロファージに作用し、その活動を抑制することを論文に発表した。
これによって免疫系抗癌剤の働きを強めている。
これらふたつの特徴を持ったCBP501は、とても都合の良い化合物ということになる。
ただ、実はこれが裏返しで製薬企業等への受けが良くない。
製薬企業等は「メカニズムがひとつ」なら話が通りやすいが、「ふたつ」と言われた途端に話が都合良すぎて眉唾と感じられる傾向がある。
今回これらが論文化されたことで、この「都合の良い」話の信憑性がかなり上がった。

Q.免疫系抗癌剤との併用試験の競合では、IDO阻害剤エパカドスタットやインドキシモッドの併用で固形癌において奏功30%台半ばのものが出てきている。
安全性懸念も小さいと伝わっている。
CBP501については安全性懸念についてはほぼ同等と思うが、免疫系抗癌剤のベストパートナーになり得るかという視点で見ると有効性がどうしても注目されると思われるが、どう考えているか。

A. おっしゃるとおり、安全性については過去にプラチナ製剤との併用の臨床試験で十分に見ているので大丈夫と考えている。
もちろん新しい3剤の併用なのでわからない面はあり、そのためにフェーズ1bからのスタートになっているが、予想としては、安全性に関しては十分に勝負できると思っている。
薬効については、現在の免疫系抗癌剤単剤(オプジーボでもキイトルーダでも)は概ね「感受性のある癌で長期のレスポンスがあるのは2割程度」。
これに対して、IDO阻害剤の併用では長期レスポンス30~35%という数値が出ている。
一方で、細胞傷害性抗癌剤2剤との組み合わせでは、症例数は少ないものの、5割前後のレスポンスが出ているものもある。
そうなると、普通に考えると、CBP501・シスプラチンの併用で5割のレスポンスが出ないとおかしいということになる。
もしその5割のレスポンスが出れば、プラチナ製剤が1剤(シスプラチン)入っている点が減点ポイント。
ただ、複数の細胞傷害性抗癌剤が入っていないという点では、FDAが承認しているプラチナダブレット(プラチナ製剤を含む2剤併用)よりは良い。
希望的予想としては、レスポンスが5割程度出れば、まずIDO阻害剤(エパカドスタットやインドキシモッドの併用には勝ち、その上で、プラチナダブレットの併用よりはCBP501+シスプラチンの併用のほうが良いと判断されることになるのではないかと考えている。

Q.そのように評価されるために、3剤併用では7割とか8割のレスポンスが必要になるのか。あるいは、奏効率以外にもPFSなどを見ることになるのか。

A.まず、試験の期間が短いので、フェーズ1bで確実にわかるのは奏効率だけで、あとは奏功期間の感触が重要になる。
免疫系抗癌剤と細胞傷害性抗癌剤との併用では、奏功のあった患者さんはほぼ確実に長期のレスポンスが出るというデータが既にあるので、まず奏功率だけでかなりのことが言えると思っている。
「細胞傷害性抗癌剤が5割程度なら7割必要なんじゃないか」というご質問と思われるが、我々の考えとしては、5割のレスポンスを出しているのは細胞傷害性抗癌剤2剤との併用で、1剤の併用とは大きな違いがある。
たとえば、肺癌のステージ4の初期治療では細胞傷害性抗癌剤2剤の併用が標準治療となっているが、2回目以降の治療では細胞傷害性抗癌剤2剤の併用はしんどいということで1剤しか使わないのが標準治療。そこから普通に考えると、1回目の治療を終えて2回目に入った肺癌の患者さんには、免疫系抗癌剤と細胞傷害性抗癌剤2剤の併用はもうできないことになる。
そのようなケースを考えると、細胞傷害性抗癌剤1剤(シスプラチン)と、もうひとつ細胞傷害性でない抗癌剤(CBP501)の併用には、同等の有効性であっても可能性があることになる。
したがって、現在の細胞傷害性抗癌剤2剤との併用が達成している5割のレスポンスを出せれば勝ちと考えている。
免疫系抗癌剤と細胞傷害性抗癌剤2剤との併用で5割のレスポンスはとても素晴らしいが、厳しい副作用という代償がある。
CBP501を組み合わせることによって細胞傷害性抗癌剤1剤でそれと同じレスポンスが出せれば、大変魅力的な治療になると予測している。